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◆アートトーク

第六回 東恩納 裕一 (アーティスト)

私の作品のモチーフは、日常、身の回りにあるごくありふれたものばかりです。
その多くは、かつて、日本語で“ファンシー”と呼ばれ、日本の西欧に対する強い憧れが生み出した、(西欧のものでも/日本のものでもない)中途半端で、キッチュ、少女趣味・悪趣味なものと言えます。

それら“ファンシー”なものは、私にとって、とても馴染みがありながら、私を困惑させる/決して好きにはなれない(疎遠な)もの、“不気味なもの”(ジグムント・フロイト)とさえ言えるものでした。
この、私自身にとっても説明のしにくい、“不気味さ”の感覚・戸惑いの感情が、私の制作の大きなモチベーションになってきました。

例えば、(日本で独自に普及するプロダクトである)サークル型蛍光灯を多用した“シャンデリア”シリーズは、日本で蛍光灯の白く過剰に明るい光/照明が偏愛されることに気付いたことが切っ掛けで制作したものです。
そこには、私自身、蛍光灯の光に馴染みながらも、決してその白々と明るい光が好きにはなれなかったアイロニカルなモチベーションがあります。

ただ、強調したいのは、私が、“ファンシー”なものをモチーフにしたのは、単に、その悪趣味を批判したり、からかったりするためではなく、そこに、一種日本を象徴するもの(ファンシーな国、日本)、私たち自身を写す鏡を感じたからです。

私の関心は、私が日常のなかに感じる“不気味さ”や困惑といった、どちらかと言えばネガティブな感情を、そのままに表現することではなく、むしろ、制作を通じて、それらを痛快でセクシー、ユーモアと強度に満ちたポジティブなベクトルに変換しようとするものです。
“untitled(FL.100-06)”
2008
130x162cm
スプレーペイント、カンバス
(C)Yuichi Higashionna
Courtesy: Yumiko Chiba Associates
“untitled(chandelier VII)”
2005
125x110x95cm
蛍光灯、アルミフレーム、配線コード、結束バンド、安定器
(C)Yuichi Higashionna
Courtesy: Yumiko Chiba Associates

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