500万年という人類の長い歴史の中で、アートは上との対話の手段であり、その原点はアニミズムであったと言われています。我が国でも古来より日本人の心に流れている自然観・人間観を反映した数々の素晴らしい芸術作品が生み出されてきました。オランダ東洋遠征船隊のリーフデ号が大分県に漂着してから今年で四百年。大航海時代に始まる日本のアートに対する高い評価はジャポニズムの旋風となり、時空を超えて現在にも受け継がれています。
私がアンティークの蒐収を始めたのは、今から20年程前。古伊万里の天衣無縫にして斬新な魅力に惹かれ、始めは愛くるしい小品を集めて喜んでいましたが、次第にいいものが欲しくなり、気がついた時には‘骨董病’との診断。ゴルフ場のグリーンが青手古久谷に見えた頃には病もピークに達し、蒐収の対象も根付け・印籠・浮世絵と広がり、遂には20年間勤めた会社を退職し、オークションハウスに勤務する事となりました。
最近では、家庭でも美術の話が良く出る様になりました。先日も成績が上がった小学生の次女に「ご褒美に根付をあげよう」と言って変な顔をされたり、新聞紙にくるんだ壷を抱えて、いそいそと帰宅する私を見ては、「もうすぐ大きな地震がくるかもね」などと妻に驚かされてはいますが、‘これも仕事の内’と大手を振って美術を満喫している毎日です。
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