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第3回 オークションの楽しみ
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ロンドンやニューヨークを訪れる機会があれば、名所旧跡や美術館に加え、オークション・ハウスを訪ねてみては如何でしょうか。オークションというとほとんどの方は敷居が高いと感じ、億単位の絵画ばかり扱っていると先入観を持っているようですが、実際にはサザビーズで1年間にオークションにかけられる約11万点の作品の平均は約$16,800で落札されていますし、全作品の内8割の品物は平均落札価格$5,000以下です。オークションは、欧米ではより身近なものとして捉えられ、気軽に利用されています。
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オークショニアと呼ばれる競売進行人が壇上でハンマーを降り下ろす姿等、オークションの光景を、メディアを通して目にしたことのある方もいらっしゃると思います。オークションとは美術品を売りたい人から作品を集め、定められた日に公開のオークションを行って、作品に最も高値を付けた買い手に売るという販売形式を意味します。
日本人といえば、とかくバブル時代の印象派絵画オークションでの高値の購入ばかりが取り沙汰されますが、コレクターとして長い歴史を誇る事実は意外に知られていません。印象派絵画が初めて日本人収集家のコレクションに加わったのは今から約百年前と言われ、以来日本人コレクターの印象派絵画に対する情熱は衰えず、現在まで脈々と受け継がれています。この他、近代・コンテンポラリー絵画、宝石、アール・ヌーボー、アール・デコ、東洋美術などが現在の主要人気分野ですが、日本人のお客様のご興味はこれらの分野以外にも広範囲に渡っています。また、コレクション形成を始めようとする方々にとって、版画は、絵画と比較し安価なことから、最初の一歩として取り掛かりやすい分野として人気があります。
現在の海外美術市場は堅調に推移していますが、いわゆるバブル時代とは異なり、非常に選別的な市場となっています。バブル時にあらゆる作品が高値で取り引きされた状況と比較すると、第一級作品と、そうでない作品の値段の差がはっきりとしているのが大きな違いといわれています。コレクターの作品選別に対する選択眼はより厳しくなっていますが、分野を限らず良いものは値段を惜しまず購入するため、第一級作品は引き続き価格を維持し、バブル時よりも高値で落札されるケースも多数あります。
オークションの魅力は何よりも、今を逃したら二度と手に入らないかもしれない作品の数々、また一瞬のうちに決断するというその緊張感、エキサイトメント、そして落札した時の喜びと言えます。この華麗なドラマは、オークション以外の場では味わうことのできないものでしょう。 |
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サザビーズ・ジャパン
代表取締役社長 柴山 哲治
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経歴:
1980年 |
一橋大学経済学部卒業
三菱商事株式会社入社
東京本社銅地金原料部及び原子燃料部にて活躍 |
1988年 |
同社退社、米国ハーバード大学経営大学院
(ハーバード・ビジネス・スクール)へ留学 |
1990年 |
同校にて経営学修士(MBA)取得
ロックフェラー家投資会社(NY)入社 |
1992年 |
同社東京駐在員事務所設立のため帰国
シュローダー・ベンチャーズ東京事務所に出向後
ロックフェラー家投資会社東京駐在員事務所へ帰任 |
1994年11月 |
同社退任 |
1994年12月 |
株式会社サザビーズ・ジャパン代表取締役社長に就任 |
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また、サザビーズ・アジア・マネジメント・ボード・メンバー
及びサザビーズ全社の経営戦略にあたるマネジメント・コミッティー・
メンバーにも就任しており、サザビーズ・アジアのみでなく
全世界での業務拡大にあたっている。
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